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南インド料理と北インド料理の違いを徹底解説!

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今回は南インド料理と北インド料理の違いを詳しく解説します。

インドの国土はとても広大で日本の9倍にもなります。車で少し走れば異なる民族が異なる言語を話しているほど多様性に富む多民族国家なのです。

北は氷点下の険しいヒマラヤの山岳地帯、南は海に囲まれた熱帯、西には灼熱の砂漠地帯まであります。夏でも南北共に雨季には高温が続くのですが、乾季に入ると南部では30度前後の日が続くのですが、北部の気温は20度近くまで下がり朝晩はひんやりした感じになります。

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標高3000〜5000メートルという山岳地帯では紫外線がとても強くなります。夏であれば、日向にさえいれば日差しが肌を温めるため、気温が低くてもTシャツ一枚でも過ごせてしまいます。日蔭に入ると一点、ウインタージャケット無しにはいられない程寒いということが起きるのです。
山頂付近であっても、日向は雪が溶けて川となり下流へと水が流れていきますが、日陰となる側では永久凍土となり年間通して雪が溶けないのです。

東インドにはベンガル料理があります。低地で稲作が盛んで魚がよく取れるため魚カレーがメジャーです。

西インドのゴアでは豚肉を食べる文化があります。

インドの主要な宗教であるヒンズー教では豚は不浄の生き物とされ、牛は神の遣いとされており、それらの肉を食さない人が大半ですから、とても珍しい食文化の地域といえます。

気候や風土が異なれば、日々の暮らしを支える食べ物も大幅に異なってくる。その結果、地域によって多種多様な食文化が発展したのがインドなのです。

南インド料理

南インドは、カルナータカ州、アーンドラ・プラディーシュ州、ケララ州、タミル・ナードゥ州、テランガーナ州(地図中:赤の州)を指します。

インドの州(赤い部分が南インド)

カレー

熱帯エリアの南インドカレーはとろみが少なく、水分が多くスープ状でシャバシャバしています。

暑さをしのぐためにも、食欲増進のためにも、カレーの味は酸味や辛味が強く、汗で流れ出る水分を補うため、全体に水っぽくサラッとしています。

厳格な菜食主義のヒンズー教徒が多く、食材は野菜や豆を中心としていますが、ヤシの木やバナナの木が生い茂る沿岸地域では魚介もよく食べられています。

タマリンド

味付けにはココナッツミルクやタマリンド、酸味のあるフルーツがよく使われます。タマリンドは甘酸っぱい豆が原料で、ペーストや樹脂のように固めた状態で売られています。

スパイス

スパイスはカレーリーフ、レッドペッパー、マスタードシードが特徴的です。

カレーリーフはテンパリングすると独特の芳香な香りが立ち始める色の濃い緑色の葉っぱです。

マスタードシードはブラウンマスタードシードと呼ばれるゴマのように小さな黒っぽい種で油の中に投じるとパチパチという音を出しながら香りが立ち上がってきます。

調理油はマスタードオイルが主流です。タミル地方ではごま油、ケララ州ではココナッツオイルがよく使われます。まず油をひいた鍋でマスタードシードやカレーリーフに火を通して、テンパリングした油を、別で具材を煮込んだスープ類の入ったカレーの鍋に後から混ぜ合わせます。

サンバル(緑色はドラムスティックと呼ばれるハーブの一種)

豆と野菜のスープ、サンバルやタマリンド、トマト、ブラックペッパーの辛味の効いたラッサムは南インドで最も定番のスープ料理です。サンバルやラッサムはカレーやライスと混ぜて食べます。

主食

南インドは一年中暖かく、河川も多く、稲作が盛んで、お米が主食として食べられています。現地では様々な種類の米が栽培されていますが、細長く粘り気のない香り米、バスマティライスは高級米とされ、日本同様のジャポニカ米が安価で一般的によく食べられています。

お米にルーをかけたら片手でよく混ぜ合わせ、すぼませた指でひと口大にまとめて掬い上げて、口に運んで食べます。

ミールス

ミールス

南インド料理ではミールスと呼ばれるセットメニューが定番です。

バナナリーフの上に米を載せて周りに様々なカレーやラッサム、サンバルをカトリの呼ばれる金属製の丸い小さな器に盛りつけます。

熱帯地方の南部ではバナナの葉が多く採れるため、ミールスはバナナの葉がお皿代わりに使われ、北インドでも時折使われます。

ヒンズー教では穢れ「ジュート」に対する意識が強く、不浄は血液や唾液で感染するものと考えられています。異なるカーストと食事を共にすること、肉を食すること、人が口を付けたものを食べること、不浄の手(左手)で食事をするなどが穢れになるとされ、宗教的な厳格な規則があり、使い捨て食器が最も清浄だとされています。

器の脇にワダやイドゥリを添えることもあります。豆の粉で作られたパパドというお煎餅はそのまま食べてもいいですし、小さく砕いてご飯と一緒に食べるのも美味しい食べ方です。

お皿代わりのバナナリーフには抗菌・殺菌作用があるため、食中毒防止にも一役かっているのです。

南インドの軽食

南インドには気軽に食べられるヘルシーな軽食、ティファンが充実しているのも特徴的です。鉄板の上でクレープ状に焼いたドーサという料理は水を吸わせた米と豆をすりつぶして発酵させた生地から出来ています。ドーサの中に茹ででスパイスや野菜と炒めたジャガイモを詰めたものはマサラドーサと呼ばれます。

こちらがマサラドーサの出来る過程です。

このように温めた鉄板の上に生地を流し込んで、丸く整形して焼いたものがドーサです。

インドの蒸しパン、イドゥリ

豆の粉で作った生地を油で揚げた甘くないドーナツ、ワダや米と豆の粉を発酵させて作った生地を蒸した少し酸味のあるパン、イドゥリも一般的なティファンです。

小さくちぎってサンバルやチャトニと呼ばれるディップソースをお好みで付けて食べます。チャトニにはココナッツファインを使ったココナッツチャトニ、トマトの濃厚な旨味が詰まったトマトチャトニなど様々な種類があります。

南インドの港町の料理

ベジタリアンの多い南部では野菜や豆を主体とした食事が多い一方、その沿岸部では漁業が盛んです。豊富な海の幸を使った食文化も栄えています。以下の記事でマンガロールという魚を中心とした南インド料理を紹介しています。

南インド料理の食べ方

北インド料理

北インドは南インドの州以外を指します。

インドの州(黒い部分が北インド)

カレー

北インドは16世紀から19世紀までペルシャのムガール帝国の支配下にあり、アラブの宮廷料理の影響を強く受けたため、マトンやチキンを使った濃厚クリーミーな味わいの料理、ムガール料理がメジャーです。

パンジャブ料理はインド北部からパキスタンまでのパンジャブ地方の料理で、タンドール料理やアルゴビなどの野菜料理、チキンバターマサラなどの乳製品を使ったカレーが有名です。

インド最北部のカシミール地方ではイスラム教徒が多いエリアで、ヒンズー教徒でも肉食が盛んです。貴重なタンパク源はラム肉。フルーツやナッツが栽培されており乳製品にナッツを使った濃厚な味わいの料理が特徴的です。

東部ラダック地方ではチベット仏教徒が多く住んでおり、野菜を中心とした味の薄いカレーやモモと呼ばれる水餃子が食べられています。

タンドール料理

タンドール料理とはタンドール窯と呼ばれる土や土レンガで出来た窯の中で焼いた料理です。高温かつ遠赤外線の効果で余分な油が落ちて表面はカラッと中はジューシーに仕上がります。

気温の低い北インドでは寒さから身を守るために体を温める料理が必然的に増えます。脂肪分の多い牛乳、生クリーム、バターといった乳製品やカシューナッツを使うため油分が多く、とろみがあり、こってり濃厚なのが特徴です。

じっくり煮込んで作ります。

ローガンジョシュ

ローガンジョシュとは身体を温める羊肉のカレーです。ムガール帝国時代、皇帝が北の避暑地に訪れていた時に料理人が体を温めるために考えたとされている宮廷料理の一つです。

インドは暑い国という印象からカレーは夏の料理というイメージが定着しています。しかし、インドは南北にも長く高原地帯もあり、季節によっては氷点下まで冷え込む地域もあるので身体を温める料理が欠かせません。

骨付きのマトンを長時間煮込んで作るため、骨からでた旨味がなんとも言えない深みを作り出します。

ブラックチキン

烏骨鶏という鶏をご存知でしょうか。卵一個500円と言われる値段はその栄養価の高さがその理由の一つです。古くから滋養食として使われてきた高級食材・烏骨鶏を骨付きのまま煮込んだ高級カレーがブラックチキンです。

鯉のカレー

北インドにも魚料理があります。

北インドの内陸都市ニューデリーの場合、海まで950キロほど離れています。これは東京から鹿児島までの距離に匹敵します。そのため、海水魚より淡水魚を食べる文化が発達しました。

日本で鯉は郷土料理として残るほか、あまり一般的には食されていませんが、実は北インドで人気の魚なのです。

以下の記事で鯉を使ったフィッシュカレーを詳しく解説しています。料理動画も閲覧できますので、どのように作られていくかを順を追って見ることができます。

スパイス

油は菜種油がよく使われます。まず鍋の底に油をひき、カルダモンやクローブなどのスタータースパイスを入れて火にかけ、テンパリングします。

スパイスにはクミン、カルダモン、ターメリック、配合スパイスのガラムマサラがよく使われます。ガラムマサラはいくつかのスパイスをブレンドした香辛料で配合や分量は作る人によって違ってくるのです。

ナン

主食

北インドでは、乾燥した気候が小麦栽培に適しているため、小麦粉を捏ねて焼いたインドのパン、ナンやチャパティ、パロータなどが主食として食べられています。

精製された小麦粉はカメリヤと呼ばれてます。カメリヤは高価な原料ですので、アタと呼ばれる小麦をそのまま粉にした全粒粉を使ったパンが一般的です。

カメリヤを練って焼いたものがナン、アタを練って焼いたものがチャパティです。それらの生地を揚げたバトゥラ、プーリという料理もあります。

パンは手で食べやすいサイズにちぎってルーにひたしたり、包んだりしながら食べます。ヒンズー教では左手は不浄と考えられてますので、右手のみで上手にちぎって食べます。細い方からちぎって食べるのが一般的です。

国土を南北比較した場合、東インドのベンガル地方は北インドに該当します。

ベンガル地方は米食文化を背景に魚料理が盛んなエリアで、小麦より米の消費が多い地域とされています。

カシミール地方の主食は米、その中でも有名なのはバスマティ米です。インディカ米の最高峰とも言われる香り米でインド、パキスタンのカシミール地方で栽培が盛んです。

バスマティ米は、水気が少なくパラパラとした食感でインドの炊き込みご飯ビリヤニはこの米で炊くと風味が最高に活かされます。

以下の記事でバスマティ米を使った料理を詳しく解説しています。

ターリー

ターリー

北インドのセットメニューはターリーと呼ばれ、金属製の大皿にライスやナンを載せて、カトリと呼ばれる小さい金属製の器にカレーなどの様々な料理を盛ってその周りに囲むように並べます。おかずに決まりはなく、地域の食材や宗教などが反映した様々な料理が並びます。

北インドの軽食

サモサ

北インドの軽食といえばサモサが有名。サモサとは小麦粉を練って作った生地でスパイスや野菜を茹でたジャガイモと混ぜたマッシュポテトのようなものを包んで油で揚げた料理です。

見た目が三角形なのが特徴的。ストリートフードの定番で、サモサの屋台なら街中の至る所にあります。注文すると紙に包んで渡されますので、お好みでケチャップやミントチャトニなどを付けて食べます。

いかがでしたでしょうか。
日本で少しずつ増えてきた本格インド料理の店。最近では南や北以外に東や西インド料理に特化したお店もあるそうです。

東インド料理

東インドとは北インドのうち、ベンガル地域を指します。ベンガルと呼ばれる東インドの一帯は広大なガンジス川の恵みで稲作や漁業がとても盛んなエリアです。北インドにしては米食の割合が多く、マスタードをベースとした魚カレーがポピュラーです。

また、デリーやラクナウから伝わったムガール料理の影響を受け、独自に発展した肉料理もあります。

詳しくは以下の記事で解説しています。

日本以上に広大な陸地を持つインドの様々な地域の様々な料理。是非楽しんでみてください。

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