あなたの食べたあのビリヤニは本物ではなかったかもしれません。
ビリヤニはインドのご飯料理の一つで、世界的にも知名度がある料理の一つです。
しかし実はビリヤニはインドお馴染みのスパイスを混ぜて炊いただけのご飯ではありません。
最近、人気急上昇のビリヤニの祖先はピラフやパエリヤの祖先でもあります。ご飯料理としてとても長い歴史を持つ料理の一つなのです。
そしてこのビリヤニという料理は香り要素が欠かせません。この香りを構成する一つがお米特有の香り、バスマティ米の香りなのです。
スパイスの香りとお米の香りの両方を存分に活かした料理がビリヤニと呼ばれるものなのです。あなたの食べたビリヤニはビリヤニだったでしょうか?”ビリヤニ風”でしたでしょうか?
バスマティライスとは?
バスマティライスとはインド北部やパキスタンで主に栽培されている細長いインディカ米の一種です。日本で栽培されているジャポニカ米と異なり粘り気が少ないのも特徴です。
インディカ米は世界の8割の生産を占める主流の品種です。バスマティは茎が長く風の弱いのもあって収量が少なくインド国内でも1%と言われています。
バスマティは玄米に香りを持つ香り米の一種でもあります。香り米は世界的に高値で流通している米で、特に収穫から精米までの間、数年間熟成保存された米は米の水分が減少し、香りが増すことから高級品とされています。
含有水分が少ないバスマティはビリヤニなどの炒め物に重宝されています。
カレー店で出される細長い米はホントはバスマティではなかった?
インド料理を扱ったお店で出されている細長い米は全てバスマティだと勘違いしている方もいらっしゃるでしょう。
その米にどのくらいの香りがありましたか?
米粒の細長さは確かにインディカ米の特徴の1つです。そのインディカ米の中で香りを持つ米(香り米)は様々あります。さらに、その香り米の一種がバスマティ米なのです。
誤解されている方もいらっしゃるのですが、インド人にとってバスマティ米が主食ではありません。また、インド国内のレストランでさえ、どの料理にもバスマティ米を使う店はありません。
細長い米は本場だとありがたがる日本人をターゲットにし、国内で食べ放題や安いビリヤニ店ではタイ米や質の悪いバスマティ米やジャスミン米などを使っています。
インドで記念日や晩餐会などの特別な機会、特別な日に供される特別な料理に使われる米がバスマティなのです。
日本にもササニシキ、コシヒカリ、魚沼産といったように様々な産地や品種の米があるように、インドにはさらに多くの品種が存在しており、米を普段から食べるインド人たちはもっと安価な米を主食としています。
バスマティ米には様々な品種や産地、ブランドがあり、味や香りも異なります。安価なものから非常に高価なものまで存在します。
低GI食品としてのバスマティ米
最近は食生活改善の一環として糖質制限をする方も増えてきました。
GI値という言葉をご存知でしょうか?GI値(グリセミック指数)とは血糖値の上昇度、食品に含まれる糖質の吸収の度合いを示します。
GI値が高い食品を摂ると食後の血糖値が急上昇し、GI値が低い食品を摂ると食後の血糖値の急激な上昇(グルコーススパイク)を抑えることができます。
高血糖状態が長く続くとHbm1cと呼ばれる指標が上昇することも知られております。
米は品種によってこのGI値が異なります。
Critical Reviews in Food Science and Nutritionによると、バスマティは50から58と低〜中程度のGI値とされていて、日本米より低い傾向にあります。
http://www.ifrj.upm.edu.my/25%20(02)%202018/(53).pdf
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24438213/
GI値が低い食品を摂ると穏やかなに糖が吸収され、血糖値の上昇が緩やかになり、グルコーススパイクが発生しにくくなります。
日々の血糖値の大きな変動を減らし、インシュリンの分泌を抑えることが肥満予防にもつながるわけです。
最近では質の良いバスマティ米も通販で安価で購入できるため、ご自宅でビリ活という名で自炊される方も急増しています。
そのためGI値の低さからバスマティ米が注目されています。GI値と血糖値の関係については以下で詳しく解説しています。
また、日本の玄米もGI値の低さでは定評があります。以下の記事で厳選した玄米をご紹介しました。
バスマティ米を使った料理
ジーラライス
ジーラとはヒンディー語でクミンのこと。クミンの香りを油に移し、そのアロマでバスマティを炒めます。シンプルにクミンの香りを味わうことができる料理です。
クミンの健康効果は非常に高く、民間療法として古くから様々な症状改善に使われています。
マトンビリヤニ
ビリヤニとはスパイスや野菜をミックスしたインドの炊き込みご飯で、元はプラオがベースになっています。ムガール帝国時代にペルシャから持ち込まれました。
遠い昔、古代インドにはプラーカという質素なご飯料理がありました。その頃、西のイスラム勢力が東のインド大陸へ向かい、稲作地域を支配し始めました。
当時、西アジアでは小麦を主食としており米はとても貴重で贅沢品で、その米に具材を加え油で炒め豪華なご馳走として楽しんでいました。それがプラウです。
その後、プラウはヒンドスタンの様々なスパイスを加えることで香り豊かなご飯料理に変貌します。それがビリヤニです。
今でもインド各地で親しまれている料理です。
プラオはその後ヨーロッパにも伝わります。ピラフの元にもなっており、バターを加えてイタリアのリゾットになり、魚介が加わりスペインのパエリアになりました。
羊肉は食肉の中でも脂肪燃焼に役立つL-カルニチンを多く含みます。このL-カルニチンが体を温める最大の理由です。インド北部や中央アジアでは身体を温めるために大いに食されています。
一方で羊肉の独特の臭みが苦手な方もいらっしゃるのではないでしょうか。
アロマズオブインディアでは臭みを消すスパイスの効果に加え、鮮度重視で臭みの少ない上質な羊肉を使用し、特有の臭みを可能な限り抑えました。
右側の白い器はライタと呼ばれるスパイスを混ぜたヨーグルトです。ビリヤニが辛い時には少しずつ混ぜて食べると辛さが抑えられます。
こちらの写真は鶏肉を使ったチキンビリヤニです。このビリヤニという料理はアジア各国に伝わり各国で独自の進化を遂げています。
例えば上質なシルクの生産で有名なタイ王国。この国は古くから繊細な模様を織る技術をインドに頼っていました。今でも親交が深く、インドから伝わったカオモックガイというビリヤニに似たご飯料理があるくらいです。
ビリヤニにはまずバスマティライスそしてサフランが使われます。サフランは色付けだけでなく香り付けにも用いられる世界の高級スパイスの1つです。
ビリヤニは香りのハーモニーを楽しむ米料理。
その味を決定するものは第一にスパイス、次に米になります。やみくもにスパイスを使い、安さ重視で米を選べば美味しいビリヤニには決してなりえません。
「安さは正義」でもありますが、他店で2000円が900円という値段設定であれば中身はそれなりのものという覚悟は必要です。
インネパ系ではバスマティ米の代わりに日本米を使い、サフランの代わりに色の似たターメリックと呼ばれるスパイスを使用します。
日本米はインディカ米と比較してアミロペクチンというデンプン成分が多く、ご飯の粘り気の原因物質となり、ベチャベチャした重たい印象に仕上がります。
エッグフライドライス
バスマティを卵と炒めた料理です。インディカ米のパラパラした食感にバスマティ特有の米から発する香りをシンプルにお楽しみいただけます。
ガーリックライス
その名の通りガーリックライスです。油にニンニクの香りを付けてバスマティを炒めたご飯もの。ビリヤニのような香りの重なりや複雑さよりも、シンプルにニンニクの香りを味わうことができる料理です。
ニンニクは健康維持や疲労回復に優れた効能があるだけでなく免疫力を高める作用もあります。このニンニクをペーストとして特に北インドでは様々な料理に使われます。
バスマティ米の選び方
最近はビリヤニを自炊する方も増えて、バスマティ米が手軽に購入できる環境も整ってきたようです。
バスマティ米ならどれも同じように美味しいかというとそうとは限りません。お米は品種やブランドによっておおよその値段は決まりますし、香り米としての良し悪しが値段に反映してきます。
インド料理店の米は以前はインド食材店でしか手に入りませんでしたが、現在では楽天などネットショップではかなり安いお米が手に入りますし、多くのインド料理店でも利用されている質の高いバスマティ米も売られています。
極端に安いお米に挑むよりこちらのブランドはいかがでしょうか?お店でも実績がある美味しいブランドです。送料を考えると1kgより5kgの方が断然お得です。
どこでオススメのビリヤニが食べられますか?
東京・神楽坂にあるアロマズオブインディア2.0が3つの点でおすすめです。
- インド人がインド料理を作っている
- 品質の高いバスマティ米を使っている
- アレンジなしの高級ホテルのレシピで作っている
たとえば、海外で和食店に入ったときに、日本人の板前が調理場にいたら、その安心感は計り知れません。
その国の料理を現地人が作っているというだけでアドバンテージがあります。アロマズオブインディアでは経験豊富な現地人がキッチンを支えています。現地の味を間違い無く楽しめます。
ビリヤニはお米の料理。味付けでごまかしてお米を二の次にできる料理ではありません。お米の香りは主役でもあるのです。とことん質に手を抜いたビリヤニは800円程度で食べれますが、それはビリヤニ風の料理でしょう。
同じ料理・同じ料理人であっても別のレシピなら全く別の味。アロマズオブインディアはシェフの出身ホテルの味をベースにしており満足感がワンランク違います。そして日本人向けアレンジがないのも嬉しいポイントです。
アロマズオブインディアではビリヤニを含めたインド料理教室も実施しています。「食べるのも好きだけど、作り方にも興味がある!」という方に大変おすすめです。講師は5つ星ホテル出身のインド人シェフ(日本語対応)が担当します。開催日程はイベントページでご確認いただけます。
バスマティを使った料理の数々いかがでしたでしょうか?その中でもビリヤニは別格の味わいがあります。ジーラライスやガーリックライスをシンプルにそのままいただくのもよし、時にはインド人を真似てカレーと合わせていただいてみてはいかがでしょうか。
日本のビリヤニといえば?
インドの伝統料理がビリヤニとすれば、日本にも昔からある伝統料理の一つが炊き込みご飯です。日本で白米が主流になる以前は玄米が多く流通していました。この玄米はGI値が低く糖尿病予備軍にも適した食材で、炊き方次第でもちもちした美味しいお米になります。これに様々な雑穀やごぼうやにんじんなどを加えると豪華な炊き込みご飯になります。詳しくは以下の記事で紹介しています。
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