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健康と油|世界で最も体に良い油!インド伝統食材「ギー」の成分と効果とは?

インド雑学

インドにはインダス文明から5000年の歴史で培った食事法や健康法があります。紀元前に綴られたインド最古の書物ヴェーダには現代医学にも通じる知識が集約されています。そこにはインドの人々が古くからハーブやスパイスなど自然を駆使し健康を維持してきたことが伺えます。

今回はインドのあぶら、ギーについて解説していきます。

前回の記事で栄養学の世界では最近まで動物性の油が体に悪く、植物性の油が体に良いとされてきたことに触れました。

では、ギーは体に悪いのでしょうか?植物性の菜種油やオリーブ油だけをとっているのが良いのでしょうか?ココナッツオイルは低温の凝固するから血管にも悪いという噂は本当でしょうか?

インドの油

ギー

ギーとは?

インドでは古くから作られてきたあぶらでアーユルヴェーダでは薬と同じように考えられてきたもので「活力の素」と呼ばれています。

アーユルヴェーダとは生命の科学のことで、WHOにも認められているインドの伝統医学です。語源はサンスクリット語の生命「ayus」と知識「veda」からきています。インド大陸において医学や薬学など様々な知識は5000年前から人伝に伝わり、紀元前1000年頃には書きまとめられたと言われています。

インドでは生産乳量のおよそ半分をギーに当てているほどです。

ギーは英国「TIME」誌が選ぶ世界でもっとも健康によい食品50に選定され、米自然療法協会が選ぶ「体に良い油ベスト5」の第1位にも輝きました。

今ではココナツオイルやアボカドオイルなどと並ぶスーパーフードで、世界中のセレブが愛用する健康アイテムの一つなのです。

ギーを使った事がある?

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食用はもちろん、マッサージやネトラバスティにも使われています。

ネトラバスティとはアーユルヴェーダの一種で、強力粉をこねて作った土手を目の周りに置いて温めたギーを目に流し込む健康法です。ギーを流し込んだ後に目を閉じたり開いたり、目を上下左右に動かして隅々までオイルを行き渡らせます。目元の張りや眼精疲労の改善に役立つほか、アレルギーや近視予防、充血改善、ドライアイなどに効果があります。

ミルクから作られるギー

ギーとは牛乳の脂肪分から作られる純粋な油のことです。

インドの田舎では家庭で牛を数頭所有していて毎日数十リットルのミルクが手に入ります。

毎日1人で1リットルも飲みませんから、余ったミルクからヨーグルト、バター、そしてギーといった様々な加工品を作ることができるのです。

ギーは、まず原料となるミルクから遠心分離でクリームを作ります。ミルクには牛乳のほか、バッファローやヤギの乳も使われることがあります。

クリームには脂肪分とタンパク質が豊富に含まれています。このクリームを乳酸菌で発酵させたのが発酵バターです。

発酵バターには脂肪分のほか、水分などがおよそ15%ほど含まれています。

ギーはこの発酵バターのうち、塩分の加えられていない無塩発酵バターを使います。

無塩発酵バターの中には水分のほかタンパク質、糖分なども含まれています。それをゆっくりと煮詰めて取り除くと純度がとても高くなり、およそ99.8%は脂質となります。

すると変性の原因となるタンパク質がほとんど含まれず腐敗しにくくなります。

ギーの脂肪酸の7割が飽和脂肪酸である点、酸化を防ぐビタミンEが豊富に含まれている点から酸化しにくい性質も持ちます。

ですからバターが冷蔵保存が必要なのに対してギーは長期間「常温保存」が可能なのです。

ギーの栄養素

ギーにはタンパク質がほとんど含まれず99.8%が脂質です。では、どのような脂質が含まれているのでしょうか。

この成分解説はグラスフェッドであることが前提です。穀物は越冬するため、酸化耐性の高い飽和脂肪酸を多く含みます。

穀物、つまり配合飼料で育てられた牛の乳成分はグラスフェッドとは異なり飽和脂肪酸が高くなり、不飽和脂肪酸の成分バランスも異なります。

中鎖脂肪酸

ギーにはバターより長鎖脂肪酸が少なく、中鎖脂肪酸が多く含まれます。中鎖脂肪酸は体内で素早く分解されるため脂肪細胞に蓄積しにくいという特徴があります。

酪酸

短鎖脂肪酸の酪酸も多く含まれています。酪酸は制御性T細胞を活性化し、免疫細胞の過剰な反応を防ぎます。つまり、アレルギーや炎症を抑制する効果があるのです。

ビタミン

ギーにはビタミンA、D、E、Kが豊富に含まれています。これらは脂溶性ビタミンとして知られており、肌や目の健康や免疫強化に欠かせない重要な成分です。

共役リノール酸

ギーには共役リノール酸が含まれます。共役リノール酸は体脂肪減少のほか、高血圧、糖尿病、動脈硬化予防、免疫強化に役立ちます。

オメガ3

また、バターに比べてオメガ6のリノール酸が少なく、オメガ3のα-リノレン酸が多いという特徴もあります。オメガ3とオメガ6はどちらか一方だけを摂ればいいということではなく、二種類の摂取量のバランスがとても重要です。

その理由については以下で徹底解説しています。

ギーの効能

  • 免疫機能改善
  • 抗炎症作用
  • コレステロール値の改善
  • 抗酸化作用
  • 消化促進
  • 食欲増進
  • 解毒
  • 便秘解消
  • 脂肪燃焼
  • 記憶力向上
  • 解熱
  • 疲労回復
  • 血行促進
  • 老化防止
  • 火傷回復
  • 精力増強
  • 関節の柔軟性向上
  • 美容効果

体に良いあぶらを選ぶには?

  • 低温圧搾
  • 未精製
  • オーガニック
  • 遺伝子組み換え非使用

家庭用の油脂のほとんどは抽出しやすいように高温で圧搾されます。

高温で圧搾されると熱により変性したり、健康によい有効成分までが失われます。また、匂いが強まるため溶剤を用いて精製を行う必要が出てきます。さらに高温下では酸化しやすく有害物質やトランス脂肪酸(トランス型)が発生してしまいます。

トランス脂肪酸の危険性や脂肪は果たして健康に良いのか悪いのか。以下で基礎から詳細まで解説しています。

一方、低温で圧搾を行うと香りや色は穏やかに抽出され、酸化されず有効成分が残りますが、時間や手間がかかるため高額になります。

オーガニックにも様々なものがあります。有機栽培でも殺虫剤や除草剤などの薬剤や化学肥料を使っていた畑であれば数年経っても薬品が微量に残存していることがあります。

また、堆肥を使っていたとしてもその原料となる家畜が安全でない餌や薬品を摂取していた場合、糞中に薬品などが残存して、その化学物質が栽培した植物に移行する可能性も否定できません。

特に大量生産を目的とした輸入作物の多くには遺伝子組み換え技術が使われています。

もともと遺伝子組み換え作物は収量を増やす目的で実験室で開発された人工作物です。長期的な臨床試験がされないまま市場に流通しているため、将来的に様々な疾患を危惧する声が上がっています。

動物性の油は嫌われ者?

皆さんはご存知でしょうか。抗生物質や化学添加物などの有害物質というものは油に溶け込む形で体に取り込まれ、体外へはなかなか排出されません。

ここでの議論は動物性油脂の良し悪しではないことにもうお気づきの方もいるでしょう。問題点は化学物質に汚染されている油脂にあるということです。

油を摂取すれば植物性・動物性関係なく、細胞に取り込まれます。そして油を介して有害な化学物質も取り込まれていくのです。

一方で植物性油脂ではどうでしょうか。市販品の多くは、遺伝子組み換えの原料を使い、発がん性物質を含むあらゆる添加物が生成過程で大量に溶け込んだものが販売されています。

数百円で買えるような格安のオリーブオイルが店頭に並んでいるのを見たことがあると思います。こういった油の大半は他の安い油が混ぜられた粗悪品という事実をご存知でしょうか。

さらに高温調理に向くのは植物性油脂ではなく、化学的に安定した動物性油脂ということはご存知だったでしょうか。

多くの方は焼いたり炒めたりするために油を買います。そして植物性のサラダ油を使っているでしょう。ラードやバター、ギーなどの動物性の油を積極的に使っている方は少ないのではないでしょうか。

油は煙が出るほどの温度に上がれば、熱に弱い油ほど早く化学的に不安定になり熱変性を起こし始め、有害なトランス脂肪酸を発生するのです。

植物性油脂は工業生産しやすく莫大な利益をもたらします。そのため古い栄養学を悪用し、動物性油脂の優位性を様々な形で否定することで販売拡大を推進してきた経緯があります。

例えば、低温で動物性油脂が固まる様子を見せることで、あたかも血管が詰まる原因となるという印象操作もありました。そうであるなら植物性であるマーガリンも固まるという事実はどう評価するのでしょうか。

最新の医学では、動脈硬化の原因となる血管壁の損傷や中性脂肪の過剰な増加につながる最もな原因は糖質の摂りすぎとされています。

安全に飼育された動物の脂であれば健康を害することはありません。

監修:岐阜大医学博士・杉浦康介

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