本格料理とはインドの伝統レシピ通りに作った料理のことで、主に宮廷料理です。それに対して(普通の)インド料理とは店や人のオリジナルレシピの料理です。例えばインドの伝統レシピからたった一つのスパイスの配合が変わったり不足すれば、それを本格インド料理とは呼びません。
本格インド料理の本格ってどういう意味なの?インド5つ星ホテルで伝統料理を学んだインド人シェフに尋ねてみました。
本格料理ではないインド料理とは?
本格インド料理とはインドの伝統レシピ通りに作った料理のことで、主に宮廷料理です。そのレシピからたった一つのスパイスが変わったり不足すれば、それを本格インド料理とは呼びません。それはオリジナル料理なのです。
本場の料理といえば、本来の場所の料理を指しますからどちらでも間違いではありません。
インド料理の種類
インド料理にはどのようなものがあるのでしょうか。
- インド料理(全般を指す場合・他との分類を示す場合)
- 本格料理(伝統料理)
- 郷土料理(地方料理)
- 家庭料理(薬膳料理)
- 創作料理(フレンチスタイル・ガストロノミー)
インド料理と本格料理は次の章で解説しています。
郷土料理
郷土料理というのはインド各地の料理でケララ、マンガロールやゴア、コルカタなどの都市や地域の料理のことです。その土地の気候や歴史の影響を受けた食材が使われます。
家庭料理
インド伝統医学アーユルヴェーダの考え方が浸透しているインドの家庭では医食同源が基本です。家族に代々伝わるレシピのほか、日々の体調に合わせてスパイスやハーブを調合して作るお粥のような料理もあります。薬膳料理も大事な家族の健康を守る料理です。
創作料理
ガストロノミーと呼ばれる創作料理の世界にインド料理で挑んだ第一人者といえば、アジアナンバーワンレストランに何度も輝いたガガン・アナンドが有名です。このタイプを提供するレストランではフレンチスタイルのコース料理として一品ずつ出されるのが普通です。
インド料理と本格料理
一般的にインド料理(Indian food)と言った場合、北インドのムガール料理を指します。これは15世紀以降、スパイス貿易で世界的にカレー文化が広がった起点がイギリスにあり、イギリスのカレーはこの北インドの料理がベースとなっていたからです。
Britain's favourite dish; the classic chicken tikka masala. This much-loved chicken curry recipe from Madhur Jaffrey features garlic, ginger, cumin and coriander.
狭義の意味のインド料理とは、以下のように本格料理(オーセンティック)との違いを明確にするための言葉に使われます。
本格料理とは?
日本人の感覚からすると、スパイスが効いていて、いわゆるインドっぽさがありさえすれば”本格的だ”と言ったりします。
しかし、本来の意味の本格料理とはインド伝統のレシピで作った料理、主に宮廷料理のことです。
インド人がインド料理を美味しく作ったとしても、それを本格インド料理とは呼べないということです。
- インド料理(レストランのレシピ・シェフのレシピ)
- 本格料理(伝統のレシピ)
インド料理店と本格インド料理店の違いは、味が「レストランの味」か「本来のインドの味」かという違いです。
「レストランの味」とはその店のシェフのレシピの味のことです。「本来のインドの味」とはインド伝統のレシピに則った味のことです。
そして、この伝統レシピはアレンジされたものも数多く出回っており、本来の味は限られた人だけが再現できるものなのです。
「本格」という名を付けて店を出すことは誰でも出来ますが、言葉通りに「本格」料理を出している店はごく少数です。これは世界共通です。
「本格」という言葉(オーセンティック)の本来の意味とは、その道の伝統やその世界の流儀に従い、その基本的な技や方法論を重んじながら物事を成し遂げることです。
料理の世界であれば、例えば江戸前寿司なら江戸前流の流儀があります。四川料理にしてもプロヴァンス料理にしても、国や地域に受け継がれている味、伝統、料理法があります。
本格料理とは、その料理界の一流のみが伝承するレシピを教わり、技術を含めた全てを受け継いだ者が作れる「本」来の「格」式ある特別な料理のことなのです。
ホテルと本格料理
インドは大航海時代にスパイス貿易を目的とする西洋諸国に植民地化された歴史があります。20世紀に独立する最近までイギリスに支配されていました。
ホテルとは元々は王侯貴族のための場所でした。それは飛行機が誕生するずっと前の話です。
海外旅行というものが庶民の手に届かない遥か遠い昔、贅を尽くした装飾や調度品で彩られたホテルは多くの家来を引き連れ、何ヶ月もかけて馬車や船でやってくる上流階級が寝泊まりするために使われました。
ホテルは遠くから遥々やってくるゲストをもてなす場でもありますから、選ばれたホテルシェフがその土地の料理を作る事となります。
そしてこのホテルの料理と家庭料理は異なります。
家庭料理というものは家族の健康を守るための料理です。日々の体調に合わせてスパイスを変えたり、家事の負担とならないよう手軽に作れるものでなければなりません。
一方、ホテルで出される料理は宮廷料理です。
本格料理である宮廷料理は、庶民の料理である家庭料理と対極にあります。宮廷料理は手間隙を惜しみません。材料やスパイスにこだわり、調理時間がかかることも気にしません。王侯貴族向けの宮廷料理はインドでは伝統的にホテルに受け継がれてきました。
- 家庭料理(手間隙をかけない・家族に伝わるレシピ)
- 本格料理(手間隙を惜しまない・インドに伝わるレシピ)
そのためインドで本格料理のレシピを手に入れるには(高級)ホテルに入門するのが第一歩となります。そしてレシピを伝承する候補に選ばれなければなりません。
インドでは仲が良くても他人に教えない家族だけのレシピがあると言います。
本格料理の世界でも大切なレシピはなかなか教えてもらえません。キッチンから他のスタッフを全て締め出した上で料理をする徹底ぶりです。
ごく限られた人しかレシピは教われませんから、のちにレストランを開いたとしても本格インド料理を出す事はできないのです。
どこもかしこも本格インド料理店?!
どこでも見かけるようになったインド料理店。その数の多さは東京都内に限りません。
その看板のほとんどに本格という名前が付けられていますが、本格(オーセンティック)という言葉は一人歩きし、今では本場感をあおるための広告表現になってしまっています。
今では本格という名前から本来の味を楽しめるのは一部のお店に限られてしまいましたが、なぜこんなにもインド料理店が多いのでしょうか。
ここまで増えてしまった背景には、ネパール人が大きく関係しており、彼らの就労ビザ取得を斡旋する業者も暗躍しているようです。詳しくは以下で解説していますので興味がある方はご覧ください。
ここしばらく謎だったのが、外国人が経営するインドカレー店が増えてきたことだ。 最初は都内の駅から離れた場所にこっそりオープンしていたが、徐々に郊外でも増え始め、今では地方の駅の近くにも堂々と店を構えている。 しかも、近い立地に複数オープンするケースも増え、完全に需要を上回っている。当然のことながら
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