ガラムマサラとはヒンディー語から派生した言葉で、ガラム(熱い)マサラ(ミックススパイス)と訳されるスパイス、調味料の一種です。
いくつかのスパイスを混ぜ合わせて臼やミルで潰したり挽いたりして粉にしたものを使います。
インドにはスパイスの組み合わせ方で無数のガラムマサラが存在します。それは人の数に匹敵するほど。
そのレシピは代々受け継がれ、その家庭が置かれた町、地域、宗教など食習慣の違いを反映したものとなります。
その家庭では普段、魚を食べるのか、菜食なのか、肉を食べるのか、といった違いがガラムマサラのレシピに影響を与えるのです。
家庭だけでなくダバから高級ホテルのレストランまで同じガラムマサラは存在せず、各々で作り出したガラムマサラの香りがその店を特徴付けるものの一つとなります。
ガラムマサラの誕生
ではガラムマサラはどこからやってきたのでしょうか?どういう目的で作られたのでしょうか?
家庭料理というものは日々の家族の健康を支える食事です。また、どのスパイスやハーブにも何らかの抗酸化物質を含んでおり薬としての効能を持っています。
インド人の食事は、その日の体調に合わせてスパイスを上手に取り入れる医食同源。それは5000年前から伝わるあらゆる知識が集約され太古から伝わる文献、ヴェーダの影響を受けた暮らし方です。
インドの伝統医学であるアーユルヴェーダには消化の火(アグニ)と呼ばれるものがあります。体に取り入れた物はアグニにより分解され、物質が変換し、体の大切な臓器や器官を形成していくという考え方です。
適した熱を与えればアグニの働きが促されて消化が上手くいきます。逆に体を冷やしたり、不完全な熱であれば、アグニが上手く働かないと未消化状態となり、体に悪い毒素を生み出します。
身体に熱、つまり火のエネルギーを与える。体温を上げてアグニの働きを活発にさせる目的で生まれた火のスパイス。それがガラムマサラなのです。
ガラムマサラの効能
ガラムマサラには何種類のスパイスをどの分量で混ぜなければいけないという決まったルールがありません。レシピが異なれば、その効能も当然のように異なってきます。
バランスよく配合されたスパイスはあるスパイスが別のスパイスの強すぎる香りを抑えたり、また別のスパイスの香りを引き立てたりしながら香りの相乗効果を生み出します。
スパイスは何らかのサポニンを含みます。サポニンとは植物の持つ苦味や渋みといった成分で、抗酸化物質の一つです。
免疫細胞を強化してウイルスや細菌からの感染を予防するほか、コレステロールの調整など生活習慣病の予防にも役立ちます。
スパイスの効能の一例としてはアンチエイジング、栄養吸収の促進、糖尿病予防、心筋梗塞予防、痛み止め、免疫強化、デトックス、鎮静、メタボ改善、抗炎症、駆風作用、整腸、血行促進、不眠改善、殺菌など様々あります。
自家製ガラムマサラ
ところで皆さんはガラムマサラを作ったことはありますか?
スーパーへ行けばガラムマサラを含むあらゆるスパイスが簡単に手に入ります。インドでも調合されたガラムマサラは販売されています。
インド人でも作るのが手間という方もいるでしょうし、忙しい家庭やお店などで一定の需要はあるのでしょう。
確かに市販品は初めての方にはとても便利ですが、ご自分で一度ガラムマサラを作れば、アロマの力強さに圧倒されることでしょう。
ここではガラムマサラの作り方を1つ紹介いたします。
材料
全てホールスパイスです。(パウダースパイスでは代用できません。)
- コリアンダー
- カルダモン
- クローブ
- ブラックペッパー
- シナモン
- ナツメグ
- メース
- ブラックカルダモン
スパイスについてはこちらで徹底解説しています。
手順
- 材料をフランパンで香りが出るまでゆっくり温める
- 焦げないように温度調整しながら温め、火から下ろして冷ます
- フードプロセッサーやコーヒーミルで挽く
油の引いていないフライパンや鍋でホールスパイスを温めます。粒の小さいスパイスは焦げやすいので注意します。パウダースパイスはすでに香りが飛んでいます。
香り成分は揮発性で熱を加えると香りが立つので、ある程度温めたら別の器に入れて冷まします。フライパンに入れたまま冷ますと余熱で焦げてしまいますので必ず下ろします。火を通したことで乾燥し、挽きやすくなります。
特殊な道具がない限り、市販のような均一な粉末にはなりません。自家製の粒の大きさは粗びき黒こしょうのような感じになれば粒が不揃いでも十分です。
パウダー化したスパイスは香り成分が揮発しやすいため、空気に触れないように密閉して冷暗所に保存します。1〜2ヶ月くらいが目安です。
市販のマサラケースも便利です。
いかがでしたでしょうか。ホールスパイスを揃えるのは大変かもしれませんが、ぜひ料理好きの方は自家製のパンチの効いたガラムマサラをお試しください。
よりスパイスを詳しく学びたい方は
にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
コメント